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金色の背徳 第36話

2009/03/30 22:05 

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 その日の五時過ぎ。予定の仕事を終えた駿策は涼子の事務所へ向かった。近くの駐車場に車を止め、少し歩いて彼女の事務所があるビルの前に立った。
 四階の「芦川涼子法律事務所」には明かりが灯っている。彼女が言っていた通り、ビルの立地は良いが、かなり老朽化している。エレベーターも旧式で、遅いし狭い。涼子が移転を考えるのもよく分かった。
 ひとつ深呼吸をしてドアをノックする。すりガラスで中がぼんやりと見えた。
「どうぞ」
 聞き覚えのある涼子の声がした。緊張してドアを開けると、ちょうど彼女が椅子から立ち上がったところだった。
 駿策の姿を捉えた涼子の表情には、驚きと悦びが交錯していた。
「……駿策……さん……」
 一週間ぶりに見る女弁護士は、さすがに少しやつれているようだ。それでも豊満な色白の肉体は健在だった。
「こんにちわ、涼子先生」
「あ……、こちらへ……、どうぞ」
 応接室へ勧める動作も何だかぎこちない。
「事務員さんは?」
「出掛けてて、今はわたし一人……。あ、あの……、お茶でも煎れます」
 駿策がソファに腰を下ろしたのを見届けると、涼子は給湯室へ姿を隠した。きっと複雑な心境なのだろう。
 事務所の中をぐるりと見回した。きちんと整理整頓がされ、清潔感にあふれている。女ばかりの事務所らしく、小物なども可愛らしいものが置かれていた。
「どうぞ……」
 白いスカートに、黒いブラウスの胸もとを少しはだけている。髪を後ろで束ね、いかにも活動的な感じだ。
「どうしたんです、先生? 突然、音信不通になって。心配しましたよ」
「……ごめんなさい……」
 下唇を噛みながら言うと、涼子は彼の前に腰を下ろした。

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「先生が海原建設の顧問を辞めたことは玲緒奈さんから聞きました。それと何か関係があるんですか?」
「何も……、何も言えないの……。ごめんなさい」
 涼子は首を振るばかりだ。
「何も言えないって……。まさか、僕たちのことが玲緒奈さんにばれたとか?」
「ごめんなさい……。わたしの、口からは言えない……」
 うつむき、じっと耐えるように言う。目にはうっすらと涙も浮かんでいる。玲緒奈に恥部を握られ、罵倒されたことがよほど堪えているのだろう。内情を知っている駿策は、そんな素振りも見せずに、
「先生、何でも打ち明けて下さいよ。僕らは共犯者だって言ったじゃないですか。あなたがそんなに苦しんでるのに……」
 と険しい顔つきで言った。
「……駿策さん……。心配してくれて、嬉しい……」
「玲緒奈さんに何か言われたんですね」
 駿策の強い口調に、涼子ははっきりとうなずく。今まで堪えていた涙が、目から溢れ出した。
「何を言われたんですか? 言って下さい」
 彼の顔を見て安心したらしく、涼子はぽつりぽつりと話し始めた。その内容は、彼が玲緒奈から聞いていたこととほとんど一致していた。
「……写真を突きつけられて、悔しいけど反論できなかった。それで、あなたとは一切会うことを禁じられたの。だから……」
 握った拳を震わせながら言う。
「じゃあ、僕にも責任があるわけですね」
「違うわ、悪いのはあの女。あなたにも危害が及ぶかもしれないと思ってわたしは……」
 涼子はハンカチで顔を覆った。駿策に会えた悦びと、玲緒奈への恨みで感情が昂ぶったのだろう。
「だから、もしこんなところをあの女に見つかったら……」
「大丈夫ですよ。あの人は明後日まで出張で留守のようです。ちゃんと確認して来ましたから」
 そうでなければ、駿策だって恐くてここへは近寄れない。
「そう……。でも、もう会わないほうがいい。あの女は怖ろしい女よ。何をされるか分からない。あなたがここへ来た事だって、知られるかもしれないわ」
「僕たちはもう終わりってことですか?」
 あえて冷たく、突き放すように言った……。

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