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十字架上の貴婦人 第9話

2009/07/06 20:10 

 先ほど身体に傷はつけないと言われたが、それが守られる保証はない。貴和子は恐怖に身がすくんだが、言いなりになるつもりはなかった。
 こんな暴挙が許されていいの? 
 いったい自分がどんな罪を負ったというの? 
 それとも簡単に騙されてしまった自分が悪いの?
 貴和子は長い黒髪を振り乱し、身体を揺すり、首を振り、精一杯の抵抗で応えた。裸体を晒している羞恥よりも、これから訪れる恐怖、怒り、困惑の感情が強い。
「どうしても嫌だってことかい」
 不貞腐れたようにコンクリートの床に唾を吐き、
「じゃあ無理にでも言うとおりにしてもらうしかないな」
 哀れみのこもった視線を貴和子へ向け、テーブルの上に置かれていた四角い箱を手にした。蝋燭の炎に浮かび上がったそれは、プラスチックのように見えた。
「ここには面白い仕掛けがあってね」
 男の目がサディスティックに光り、その箱のボタンを押す。
 すると天井が不気味な機械音を発し始めた。車のエンジンにも似た、モーターが回るような音だ。
「可哀相だから首輪は外してやるよ」
 革製の硬い首輪が取り除かれると、かなり首筋が楽になった。それでも天井の音はしだいに迫力を強め、貴和子の精神を追いつめるのだ。
「うっ!」
 貴和子の表情が凍りついた。
 歯車が軋むような音に変わり、腕が上に引っ張られる。天井を見上げれば、腕を拘束する鎖が巻き上げられているではないか! 
「分かったかい、奥さん。面白い趣向だろう」
 狼狽する貴和子を、男は嬉しそうに眺めた。
 鎖が直に手首へ巻かれているわけではないが、革の腕輪が引っ張られると、手首が締めつけられる。
「やめてッ、やめて下さい! お願いですから……」
 か弱い女の抵抗は、蟷螂の斧である。機械による強力な巻上げには、手も足も出ない。だんだんと手首も痺れてきた。
「よし、このくらいかな」
 女体がおよそ一メートルほど持ち上がったところで、男は機械を止めた。貴和子の黒い繁みが、ちょうど男の目の前にきた。
「許して……」
 溢れる涙を拭うこともできず、貴和子はか細い声で訴え続けた。
「実はまだあるのさ、奥さん。こっちの方が刺激的かな」
 男が言い終わると、今度は左右の壁が激しく唸った。再び天井と同じような機械音が響き渡り、鎖がガチャガチャと嫌な動きをする。
「な、何を?」
 これ以上、どんな辱めを受けさせようというのか。貴和子は男を見下ろす格好で、次なる恐怖に身を焦がした。
 鎖が壁の方へ引っ張られると、彼女の足先の鉄球が転がり、閉じていた脚を開かざるを得ない。股を裂かんばかりの力が女体を歪ませる。
「いやッ、いやああああ……!」
 淑女の悲鳴が無機質なコンクリートに弾き返された。想像を絶する羞恥と恐怖が、女体を極限まで追いつめる。手首の痛みも忘れ、貴和子は声を限りに叫んだ。
「美しい十字架の完成だ」
 満足そうに呟くと、男は機械を止めた。暗がりの中に、再び静寂が訪れる。
男の言うとおりだった。
 貴和子の両手は、首を基点に水平に引っ張られ、両脚は股間を軸にして、同じく直角に開かされている。十字架を少し傾けたような形なのだ。



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