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金色の背徳 第30話

2009/03/05 21:46 

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 啓太が西条宅に闖入した翌日、芦川涼子は久しぶりに海原家を訪れていた。
 義兄が入院してからは初めてのことである。訪問の理由は他でもない、宿敵である玲緒奈と決着をつけるためだ。
 相手が女なので、いつものようなミニスカートではなく地味なパンツスタイルだ。髪も束ね、極力弁護士を匂わせる服装を心がけた。
「どんなご用件?」
 玲緒奈が冷たく言い放った。
 広大なリビングのソファで悠然と脚を組み、ふてぶてしい態度を見せる彼女には、すでに女主人としての貫禄もある。自分より三つ年下の三十五歳が、まるで年輪を積み重ねた大年増のように見えた。
「座らせてもらうわね」
 敵意のこもった視線を軽くかわし、涼子はソファに腰を沈めた。
――この女さえいなくなれば――
 駿策と契りを交わした今では、玲緒奈だけが海原家の異分子である。その邪魔者を排除するのが、顧問弁護士の役目だ、涼子は自分に言い聞かせた。
 前もって連絡を入れていたため、通いの家政婦も外出させたらしく、家には玲緒奈独りきりだった。彼女も何か重大な話だと察してのことだろう。
「用件はこれだけ。署名して欲しいの」
 パチッとバッグの口を開き、封筒に入った一枚の紙をテーブルに置いた。これだけで玲緒奈には通じるはずである。
「離婚届じゃない、これ。誰が離婚するの?」
 顔色ひとつ変えず、玲緒奈はソファにもたれたままだ。羨ましいほど長い睫毛が、瞳の上でカールしている。
「決まってるわ、あなたと義兄よ」
「何であたしが海原と? しかもどうしてあなたがこんなものを?」
「身に覚えがあるはずよ。妻の継続的な不貞行為は、離婚理由として充分だわ」 
 むろん玲緒奈の浮気の確証はまだ得ていないが、涼子には確信があった。それに駿策のすべてを独占したいという思いが、彼女を焦らせていたこともある。
「証拠はあるんでしょうね、弁護士さん?」
「残念だけど、まだ証拠はないわ。でも潔く自分の非を認めて出て行くなら、あなたの今後の身の振り方を考えてもいいけど」
 涼子は自信たっぷりに言った。
「何寝ぼけたこと言ってるの、弁護士さん。証拠もなしに、人をふしだらな女だと決めつけたりして」
 三十億の財産がかかっているだけ玲緒奈も強硬だった。怒気を帯びた眉がやや吊り上がり、広い額にも赤みが差している。
「証拠は時間の問題よ。それからならあなたは無一文で追い出されることになるのよ、それでもいいの?」
 涼子は海原から一定の財産の運用を委任されている。だからある程度の金額なら、玲緒奈に手切れ金として渡しても良いと考えていたのだ。
「ふふふ……」
 玲緒奈が妖女のような笑いを漏らした。

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「何がおかしいのよ。あなた、自分の立場が分かってるの?」
 不気味な玲緒奈の笑いが、涼子を不安に陥れた。妙に落ち着き払い、彼女の追及に少しも動じるそぶりを見せない。
「おかしいから笑うの。ふふふ…、ふっふっふっ……、あなたこそ自分がどういう立場にいるか分かっていないようね、おかしくて仕方ないのよ」
 こみ上げる爆笑を抑えるように、玲緒奈は手のひらを口に当てた。今にも腹を抱えて笑い出しそうな姿なのだ。
「わたしの立場? 言ってる意味が分からないわ」
「見えない? 断崖の上、独りで踊っているあなたの姿が」
 吐き捨てるように言って立ち上がり、玲緒奈はキビキビした動作で、サイドボードから分厚い封筒を出し、
「あたしの方もお見せしたい物があったの。これを見てもらって、感想を述べてもらえるかしら?」
 涼子の目前に放り投げた。
 煩わしそうに封筒を開け、内容物を目にした涼子は驚愕した。
「これ、は……」
 胸が締め付けられ、声がかすれた。全身の毛穴から冷たい汗が噴き出し、狂ったように鼓動が高鳴る。
「どう? ご感想は」
 勝ち誇る玲緒奈の声も遠くで聞こえる。
「どうしてこんなものが……」
 四肢の力が抜けていくが、瞳だけは釘付けになったまま動かない。描いていた巨大な城郭が、音を立てて崩れ落ちていく。涼子が手にしている十数枚の写真が、すべてをふいにしてしまったのだ。
 写真には涼子自身と、そして駿策が写っていた。
 写真の中の涼子は、駿策の男根をさも愛おしそうに咥えていた。もちろん彼自身もはっきり写っている。さらにはビルの屋上の鉄柵を握り締める涼子を後ろから犯す駿策、そして今にも嬌声が聞こえそうなほど喜悦に満ちた彼女の表情が……。
 淫猥に歪んだ唇の形、激しい抜き差しに跳ねる乳房、豊満な尻を突き出した扇情的なポーズ、すべてがまぎれもなく涼子自身のものだ。
 本能をさらけ出した男女の痴態が、ポルノ写真顔負けの露骨さをもって、あますところなく収められていた。誰が見ても、駿策と涼子の二人だと分かるほどの鮮明さだった……。

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