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金色の背徳 第42話

2009/04/13 22:24 

 駿策夫妻の見舞いを受けた海原の機嫌は良かった。
 愛娘の前では、ワンマン社長も単なる一人の父親である。早くに母を亡くした繭美を溺愛し、駿策の妻となった今でも目の中に入れても痛くないほどの可愛がりように変化はない。
「君にもいろいろ迷惑を掛けるが、これからも繭美を支えてやってくれ」
 近況報告を終えると、海原はしみじみ漏らした。
 これまでは聞き流していた社交辞令も、何故だか今日は心に残った。駿策は海原から一人娘だけでなく、妻まで奪っているのである。罪悪感とは別の感情が、しこりのように植えついた。
「お父さん、お願いがあるの」
 海原の娘に戻った繭美が切り出した。
「欲しいものなら駿策君にお願いしろよ」
 娘の頼みに冗談で切り返すなど、彼はすこぶる上機嫌だ。
「そんなことじゃないの、涼子さんのこと」
 子ども扱いする父に口を尖らせ、涼子をまた弁護士として雇って欲しいと訴えた。海原とて玲緒奈の言うがままにしたに違いなく、涼子の解任に積極的に賛成したわけではないはずだ。
「そうだな……、それはわたしも考えていた。涼子が辞めたいと言ったらしいが、二人とも気が強いからぶつかり合うんだな。玲緒奈と専務にはわたしから連絡しておくよ。まあお前にとっては母の妹、叔母だからな、心配するのも無理ないか」
「じゃあ涼子さんを戻してくれるのね」
「ああ、約束だ。駿策君、悪いがわたしの意志を涼子に伝えてくれ。是非戻って来て欲しいと」
「分かりました」
 と殊勝にうなずいた。
――涼子が顧問弁護士に戻る――
 海原の鶴の一声だけに、さすがの玲緒奈も反対しにくいだろう。これを知った彼女がどう出るかだ……。
海原の見舞いは一時間ほどで切り上げた。繭美が買い物に行きたくてウズウズしているのが明らかだったからだ。
 繭美を駅前のデパートに送り届けると、駿策は一時間だけ暇をもらった。久しぶりの買い物なので、夕方まで付き合わせられることになるからだ。車の免許は持っているが、繭美は運転しないので、ここぞとばかりに買い込むことは充分に予測できた。
 彼女と別れ、駐車場に車を止めた。煙草を咥えて一服し、涼子へ連絡を取った。昨夜はホテルに泊まり、電車で出勤しているはずである。
「あ、先生。無事帰れましたか?」
「ええ。疲れ果てて、ちょっと寝坊しちゃったけど」
 ふふふ、と淫靡な笑い声を立てる。
「今一人ですか?」
「そう。でもあなたこそ大丈夫? すっかり無理させちゃったみたいで」
「最後の一滴まで先生に搾り取られて、干からびていますよ」
「まあ、いやだわ」
 電話の向こうで顔を赤らめているようだ。
「今繭美のお供で買い物に来てるんです」
「じゃあ長電話できないわね。そうそう、わたし携帯をもうひとつ持ったから、番号伝えておくわ。あなただけしか知らない番号」
 妖艶な声で新しい番号が告げられた。用心深くという駿策の提案を、早くも実行しているのだ。
「先生、朗報ですよ」
「え、何かしら?」
「さっきまで義父のお見舞いに行っていたんですが、繭美が先生をもう一度顧問弁護士にって頼んで、義父もそれを了解したんです」
「本当?」
 声のトーンが一段上がった。
「ええ。繭美の頼みは何でも聞いてくれる人ですから」
「ありがとう……。でも本当はあなたが繭美に働きかけてくれたんでしょう?」
 彼女らしい解釈で駿策に感謝を表す。
「まあそこのところはご想像にお任せしますが、ともかく戻れるんです」
「でも……素直に喜べないわ。わたしはあの女にアレを握られているから……」
 駿策との情事の証拠写真である。
「アレを盾に、あの女はきっとわたしに圧力をかけてくるでしょう、要請を断れってね」
 涼子の言うとおりだろう。玲緒奈がたやすく納得するとは思えない。
「ただ今回は繭美の強い希望だし、義父も心底あなたの復帰を願っています」
「わたし、どうしたらいい?」
 最終決定を駿策に委ねるところなど、涼子は彼を信じきっている。
「玲緒奈さんには繭美から連絡させてみます。何せ義父の後押しがあるんだから、彼女も最終的は折れるでしょう」
「そうなるといいけど……。ともかくあなたにすべてお任せします。あなたの思うようにやってみて。わたしはそれに従うわ」
「分かりました。精一杯やってみますよ」
 電話を切り、煙草を深く吸った。呼吸を整え、もう一度発信ボタンを押す。数コールの後、相手が出た……。




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