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十字架上の貴婦人 第6話

2009/06/20 14:56 

「電話一本で、見知らぬ男を信用するあなたの方が、よほどお人好しってことですよ」
 言い終わるや否や、顔にスプレーのようなものを吹きかけられた。抵抗する隙を与えないほんの一瞬のことで、悲鳴を上げる暇さえなかった。
「あっ! 何を……なさる、の……」
 貴和子は身体をよじり、両手で顔を覆った。催涙スプレーだろうか、眼球が焼きついたような痛みが走った。
「大丈夫ですよ、奥様。ほんの一時の辛抱です」
 こみ上げる笑いを無理に抑えたような、嫌な口調が耳に響く。
「た、助けて……、何でこんな……。目が、目が……、誰か……」
 視界が霞み、ボロボロと涙がこぼれてくる。喉が痺れ、カラカラに渇いたように声がかすれた。
――あなたは夫の使いじゃないの? どうしてわたしをこんな目に
 叫ぶつもりが声にならない。しだいに頭がぼんやりし始め、意識までもが遠のいていくようだ。
「ほら、言ったとおりでしょう。もう楽になりますから」
 致命傷を与えた獲物の死を待つ肉食獣のような呟きが、貴和子の薄れていく意識の中に滑り込んできた。

『ついに虜にしたぜ、財部貴和子。
 利口なようだが、あんな幼稚なトリックに嵌められるなんて、やっぱり世間知らずの奥様だな、あんた。
 まあ、いいさ。とにかくあんたは俺の支配下に置かれたわけだ。
 言っておくが、あんたに恨みはないよ、もちろんあんたの愛しいご主人様にもだ。別に俺は復讐のために、わざわざ手の込んだことはしたんじゃない。
 何故かって?
 決まってるだろう、あんたが美しすぎるからだよ。
 巷じゃもちろん、テレビや映画でさえ、あんたほどの美貌は滅多にお目にかかれないからな。
 クックックッ、楽しみだぜ。そんなあんたを俺は自由にできるんだからさ。
 さあ、どんなふうに弄ぼうか? 
ウッヒッヒッ……、目一杯蹂躙、陵辱してやるさ。恨むなら両親を恨めよ。あんたをそこまで美しく育てた両親をな……』




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No:62 2009/06/21 09:34 | #[ 編集 ]

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